戒名とは、故人が生前にお寺や社会に対して、信仰・貢献して仏門に入門したことの証拠として名付けられる名前です。
通常は、菩提寺で戒名をつけてもらって、そのまま葬儀や納骨までお願いするものです。
この戒名について、よくある質問が、
① 値段がピンからキリまであってよく分からないけど、どこが違うの?
② そんなに高いのだったら自分で生きている間に名付けられないの?
③ そもそも戒名って必要なの?
④ 亡くなった親に付けてもらった戒名が気に入らないので、変更できるの?
といった素朴な疑問についてお答えしていきます。
目次
① 値段がピンからキリまであってよく分からないけど、どこが違うの?
戒名は、故人が仏門に入門したことの証拠として名付けられる名前で、院号、道号、戒名、位号の4つから成り立っています。
この中で、そして金額に差が出るのは、院号と位号です。
まず「院号」は、お寺の塔頭の経費をすべて負担してた人の呼称だと言われています。つまり「〇●院」にお金出してくれた人というの意味なのです。
しかし、生前に何にもしていないのにも関わらず、死んでから遺族が「院号がほしい」というから、バランスを配慮して、塔頭の経費分を負担してもらうということです。
次に、「位号」は、その人の仏門での位を表します。
成人男性の場合は信士・居士・院信士・院居士などが、成人女性の場合は信女・大姉・院信女・院大姉などがあり、後ろになるほどに位が高くなりますので、当然に値段も高くなっていきます。
② そんなに高いのだったら自分で生きている間に名付けられないの?
戒名は、故人となり仏門に弟子入りするときに付けられる名前ですので、葬儀をされるご住職から授かることが基本です。
しかし、どうしても自分の戒名を自分で考えたいという場合には、事前に菩提寺に相談することが不可欠になります。
もし、菩提寺に相談なしに戒名を考えて、これを使って欲しいとお願いしたとしても、菩提寺の意向を無視する形となってしまうため、快く了承してくれるとは限りません。
そして、菩提寺で自分の作った戒名に問題がないと認めてもらった場合は、改めて葬儀をされるご住職から、自分の作った戒名を授かることになります。
あくまでも、仏門に弟子入りするための名前ですので、ご住職から授からないとつじつまが合わなくなるわけです。
また、各宗派でも生前授戒(生前戒名)を授かる儀式もありますので、菩提寺にご相談する必要があります。
なお、菩提寺がない、宗教にとらわれない葬儀を行うといった場合には、自分で考えた戒名を使用しても何ら問題はありませんが、宗教的に見ると、仏門には弟子入りしたことにはならないこととなります。
③ そもそも戒名って必要なの?
戒名はどうしても必要なものでありません。
戒名とは、故人となり仏門に弟子入りするときに付けられる名前ですので、お寺さんと付き合いたくない方、キリスト教、天理教、創価学会などの他宗教の方などは戒名は必要ありません。
ちなみに、法律上、人が死亡した場合に遺族に求められることは、「死亡届の提出」「遺体の火葬」だけなので、葬式などについては関知されることはありません。
しかし、お寺に先祖代々のお墓がある場合、その住職に葬儀を依頼しないと、通常は納骨を拒否されます。
さらに、住職に葬儀を依頼すれば戒名は付いてくることとなります。
このため、どうしても戒名が要らないということであれば、お寺に葬儀を依頼せず、散骨、合同墓地などを選択すればいいと思われます。
④ 亡くなった親に付けてもらった戒名が気に入らないので、変更できるの?
戒名は、葬儀をされるご住職から授かるものですので、名付けの親である住職が了解してくれれば変更できます。
実際に、レアケースとして住職さんに変更してもらったという話も耳にします。
しかし、49日前であれば、位牌の制作に間に合うのですが、それ以降になると位牌も作り変える必要がでてきます。
⑤ 戒名の構成
戒名は基本的に院号(いんごう)、道号(どうごう)、戒名、位号(いごう)の4つ成り立っています。
最後に、それぞれの意味についてご紹介します。
ア 院号
院号は仏教に深く帰依したという証拠でもあり、本来であれば寺院に貢献したなど特別な場合以外には付けられないものです。
しかし、近年は寺院との過去の関わりによらず、院号を用いることも多々ありますが、この場合、金銭的な出費が伴うケースが多いようです。
院号は○○院、○○院殿などと付けられるのが一般的ですが、○○軒や○○庵と付けられることもあります。
イ 道号
道号は、本人の人柄や性格、仕事、趣味などを元にして付けられるものです。
例えば、真面目な人なら「誠岳」、優しい人なら「優雲」、美容・服飾関係の仕事をしていたら「清心」など、一言でその人となりが分かるように名付けられます。
ウ 戒名
戒名は、通常は2文字で書かれるもので、最も簡単なつけかたは、自分の名前から1文字、尊敬する人から1文字を取って名付けるというものです。
また、御仏や経典からとるという方法もあります。
この場合、阿弥陀如来なら「慈」、大日如来なら「照」、真言宗なら「真」、浄土宗なら「浄」などが用いられます。
なお、浄土真宗では、戒名ではなく法名となり、釋○○という3文字になります。
エ 位号
位号は、戒名の位を示すためのもので、成人男性の場合は信士・居士・院信士・院居士などが、成人女性の場合は信女・大姉・院信女・院大姉などがあり、後ろになるほどに位が高くなります。
また、未成年の場合、年齢によって位号が決まり、3歳位までの場合は嬰子・嬰女、5歳位までで孩子・孩女、15歳位までで童子・童女がつけられます。