韓国・文大統領、チョ氏に世論猛反発にイバラの道 【ネットの声：世論調査の数字は調整されている！絶対おかしい】

　韓国で法相候補のチョ・グク氏（54）の家族を巡る数々の疑惑が浮上する中、法相任命者の文在寅大統領が難しい決断を迫られている。検察は6日夜にチョ氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴。世論はチョ氏へ反発を強めており、大統領の任命強行が政権の命取りになる可能性が浮上。断念した場合は求心力への影響が懸念され、どちらを選んでもいばらの道が待っている。

　任命すべきか、断念すべきか――。文氏は朝鮮半島に上陸した台風への対応後、チョ氏の処遇の検討に入り、早ければ8日にも判断するとみられる。

いずれにしても前途は多難だ。韓国国内では「法相任命を強行すれば世論のさらなる反発を招く可能性がある。一方で断念した場合でも目玉人事を巡る人事の混乱から求心力が低下する」との見方が広まった。

既に世論の逆風は強まっている。世論調査会社「リアルメーター」は6日、チョ氏の法相任命に40・1％が賛成、56・2％が反対したとの調査結果を発表。4日の発表と比べ賛成は6ポイント減り反対は5ポイント近く増え、反対との差が開いた。

それでも渦中のチョ氏は強気な姿勢を崩していない。娘の進学を巡り、大学の表彰状を偽造した私文書偽造の罪で、検察が妻のチョン・ギョンシム韓国東洋大教授を在宅起訴してから一夜明けた7日、記者団に対して「被疑者を召喚せずに起訴した点は残念だ」とコメントし、検察を批判した。

一方で文氏については、対応の変化の可能性を指摘する声が上がり始めた。

これまでチョ氏に数々の疑惑が浮上しても、文氏は強行任命するとみられていた。文政権の人気の一端をチョ氏が担っていたため、チョ氏を要職に就けてより強いタッグを組んで進んでいこうとの思惑が潜んでいたことや、チョ氏を法相に就任させれば、下の組織となる検察や司法を封じ込めることができるとの考えがあったとされる。

だが、受験戦争が厳しい韓国社会では、チョ氏の娘が進学で「特別待遇」を受けたとの反感は根強い。逆風は文氏の想像以上のものだったようだ。

ここにきて韓国国内では「任命断念の可能性も出てきたのでは」という見方が出てきた。「強行任命すれば、自身の支持層の離反にまでつながるという危機感があるはずだ」と指摘されている。文政権は任期の折り返しに差し掛かる中、難局を迎えた。

≪国会「不適格」でも強行任命可能≫韓国の人事聴聞会は、2000年に米国上院の制度を参考に導入。閣僚や検察長官などの候補者として指名された人物が適格かどうかを見極めるため、専門性、財務事情、学歴や経歴、人格などについて質疑が行われる。その後の手続きとしては国会の議決があるが、ここで不適格と判断されたとしても大統領の強行任命が可能。そのため、文大統領の決断が大きな注目を集めている。